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Jamie CarterによるSky Tonightアプリレビュー

2022年6月24日
Sky Tonight promo: Earth

あなたの星空観察アプリは嘘をついています。確かに、スマホを向けた星や惑星、星座の名前を教えてくれるし、国際宇宙ステーション(ISS)が頭上を通過するタイミングまでわかるかもしれません。しかし、実際にあなたが立っている場所からどの空域が見えるかは教えてくれないのです。

そこで登場するのがSky Tonightです。無料でダウンロードできるこの新アプリは、Star Walk 2の開発チームが手掛けたもので、強力な「拡張現実(AR)モード」を搭載。スマホのカメラを通して周囲の風景に空の地図を重ね合わせて表示します。これは非常に便利です。なぜなら、裸眼でも双眼鏡でも望遠鏡でも、星空観察には目の前の障害物が邪魔になるからです。自宅の裏庭であれば家の壁や木、街灯などが星を隠してしまうでしょう。いずれにせよ、空の天体を見つけるためには障害物を把握する必要があります。Sky Tonightのメイン画面右下には、スマホを動かすと連動して動くシンプルなARモードと、カメラ映像に地図を重ねるモードを切り替えるボタンがあります。昼間でも夜間でも動作し、望遠鏡を向けるべき天体(見えていても肉眼では捉えられないもの)だけでなく、日食や月食、日の出・日の入り、月の出・月の入りの観察にも同じように活用できます

この機能は観測中のあらゆる天文学者にとって実用的かつ非常に有用ですが、Sky Tonightにはそれ以外にも多くの魅力があります。一般的な星空観察アプリと同様に、スマートフォンのGPSで地球上の位置を、加速度センサーで端末の向きを検出します。現在の夜空がどのように見えているかを正確に把握でき、日付と時刻を簡単に変更して、将来(あるいは過去)の任意の日の任意の時間に、どの天体が見えるかも確認できます

Sky Tonightのもう一つの大きな特長は、天体のインタラクティブな軌道表示機能です。多くの点でARモードの有用性を拡張しており、対象の天体がその夜残りどのように動いて見えるかを正確に示してくれます。たとえば、ある天体が昇ってくるものの、特定の時刻に建物の背後に隠れてしまう場合などに非常に役立ちます。天体が暗い空域に移動して見やすくなるまで待つ必要はなく、視界から消える前に観測を済ませられます。また、北半球から見て南の空にある天体は、昇ってきてすぐまた沈んでしまうことがありますが、この機能があればその動きをつぶさに追跡できます。選択した天体の軌道は、その夜これまで辿ってきた道筋を示す実線と、これから進む方向を示す破線で表示されます。破線表示では、デフォルトビューでおおよその時刻がマークされ、ピンチ操作で拡大すれば1分単位の正確な位置まで確認できます。

Sky Tonightが各天体について提供する情報は、非常に充実かつ網羅的です。星でも惑星でも星雲でも、任意の天体をタップすると「i」ボタンが表示され、情報・数値・イベントの三部構成ガイドが開きます。「情報」にはイントロダクション原稿と、その下に事実や数値をまとめた表が含まれています。原稿は簡潔ながら読みやすくオリジナルです。「物理的性質」では赤経(RA)や赤緯(DEC)、等級、見かけの視直径など、その天体の位置データや観測値を確認できます。「イベント」には、今後見える通過や食などのイベント情報が記載されており、デフォルトでは直近の数件のみ表示されますが、「天文イベント」をタップすると、今後6ヶ月以上にわたる詳細なイベント一覧にアクセス可能です。唯一の制限は、無料版では直近3件までしか表示されず、プレミアムアクセスでそれ以上すべての情報が解放される点です。

メインホーム画面では、空の地図が中央に配置されており、「今夜観測できるもの」ページ(何が、いつ見えるかを表示)や、時間別天気予報付き「星空指数」へ素早くアクセスできます。月間イベントカレンダーは、日付がビジュアルグリッドで表示され、軽くタップするとその日の主要イベント(流星群のピーク、星の合、惑星の衝など)と常に月相情報が確認できます。流星群専用や月専用のカレンダーも用意されています。任意の日を選択すると、日の出・日の入り、月の出・月の入り、薄明(市民・航海・天文)の正確な時刻*を確認でき、昼の長さや完全暗黒時間の長さも表示されます。各イベントは詳細ページに飛び、その場所で観測に最適な時刻を正確に把握できます。 さらに、イベント情報をメッセージアプリやソーシャルメディアに、グラフィックとベスト観測時刻を含む正方形画像として共有することも可能です。イベントを保存して観測リストを作成し、合や流星群ピーク、月食などを見逃さないよう通知を受け取ることもできます。

しかし、Sky Tonightで私が最も気に入っているのは、そのデザインです。情報量が多いにもかかわらず、モダンでミニマルな外観を実現しているのは見事です。片手での操作を前提に巧みに設計されており、特に下部ナビゲーションバーは驚きの機能性を備えています。画面下部に控えめに配置されているバーは、親指でスワイプすると有用な機能が次々と現れます。明るさで表示対象を絞り込むスライダー(肉眼、双眼鏡、望遠鏡向けに調整可能)や、光害レベルを調整するスライダーも用意されています(こちらは判断がやや難しいかもしれません)。さらに、このバー上で星座表示の3パターン切り替えや天体座標のオーバーレイ、そして**夜間視力を守る赤色ライトモード(ぜひおすすめ)**のオン/オフが可能です。

結論:高い完成度を誇り、片手でも使いやすく、天体観察者やアマチュア天文学者に役立つ機能が満載のSky Tonightは、スマートフォンでの星空観察における新たなベンチマークを打ち立てています。

著者についてJamie Carter は、科学・技術・旅行ジャーナリストおよび熱心な星空観察者であり、夜空の探検、日食・月食、月の観察、天体旅行、天文学、宇宙探査について執筆しています。ウェブサイトWhenIsTheNextEclipse.comの編集者であり、書籍『A Stargazing Program for Beginners: A Pocket Field Guide』(Springer, 2015)や数々の食事追跡ガイドの著者でもあります。

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